マンション購入で見落とされる維持費:管理費・修繕積立金・管理規約

マンションの購入判断は、価格と間取りだけでは決まりません。決済後もずっと出ていく固定費と、その建物が将来どれだけ費用を必要とするかで決まります。一戸建てとの一番大きな違いはそこです。

毎月出ていく2つの費用

住宅ローンとは別に、区分所有者には毎月2つの負担があります。

この2つは、住んでいても、貸していても、空室でも発生します。管理費等が高い安い物件と、管理費等が低い高い物件では、年間総額が逆転することがあります。比べるべきは価格ではなく、価格と年間コストの合計です。

修繕積立金の残高が建物の本音

築年数の経ったマンションで、最初に見るべき数字は修繕積立金の残高です。

長期修繕計画と現在の積立残高を取り寄せて、この2つが噛み合っているかを確認してください。数年内に大規模修繕が予定されているのに残高が足りない場合、待っているのは一時金の徴収か、積立金の大幅値上げのどちらかです。どちらもその時点の区分所有者にかかります。

段階的に積立金が上がる計画そのものは、危険信号ではありません。当初を低く設定し、計画的に増額していく建物は珍しくありません。危険なのは、築25年で一度も外壁に足場がかかっておらず、積立金も一度も上がっていない建物のほうです。

管理形態も確認してください。管理会社を入れない自主管理は、うまく回っていれば費用も安く済みます。一方で、会計が整理されていない、修繕計画が存在しない、滞納者に誰も請求していない、という状態もあり得ます。総会議事録を見せてもらうのが確実です。

所有しているのは「専有部分」だけ

登記上あなたのものになるのは専有部分、実務的には住戸の内側です。構造躯体、廊下、屋上、外壁は共用部分で、区分所有者全員のものです。

誤解が多いのはバルコニーで、これは共用部分に専用使用権が付いているだけです。多くの建物で避難経路に指定されているため、囲って部屋にすることはできませんし、隣戸との隔て板が薄いのも蹴破って避難するためです。

土地は敷地権として住戸と一体化しており、分離処分はできません。これは買主にとって不利ではなく、むしろ安全な仕組みです。

管理規約が決めることは思ったより多い

管理規約と使用細則は、区分所有者を拘束するルールです。契約前に読んでください。実際によく制限されるのは次のような点です。

購入後の計画がこれらに依存しているなら、リフォーム見積もりの段階ではなく、契約前に規約で確認してください。

築年数・構造と資産価値

マンションの価値の減り方は木造戸建てとは違います。戸建てで顕著な減価は鉄筋コンクリートでは緩やかで、主要駅至近の物件は地方の戸建てとは比べものにならない価格維持力を持ちます。

節目になる時期が2つあります。ひとつは1981年6月以降の新耐震基準で、金融機関や保険の扱いが変わる境目です。1970年代の物件を見るなら旧耐震の考え方を先に押さえてください。もうひとつは2000年前後で、断熱仕様と、壁を壊さずに更新できる配管計画が一般化した時期です。

同じ建物内では、階数、向き(南向きの割高感は実勢として存在します)、角住戸か、周辺建物の高さを超えているか、が価格差になります。

申し込み前に取り寄せる資料

  1. 現在の管理費・修繕積立金と、今後の増額予定
  2. 修繕積立金の残高と、長期修繕計画上の次回大規模修繕の時期
  3. 修繕履歴(外壁、屋上防水、給排水管の実施年)
  4. 建物全体の管理費等滞納状況。滞納率が高い建物は将来の資金不足を先に教えてくれます
  5. 賃貸戸数と自己居住戸数の比率。総会の議決構成に影響します
  6. 管理規約全文と、直近2年程度の総会議事録

いずれも売主側の仲介会社が取得できる書類です。出せない、出さないという反応そのものが判断材料になります。

管理費等の年額が見えたら、日本で家を持つと毎年かかる費用と合算して、戸建てと同じ土俵で比べてください。マンションのほうが安いこともありますし、固定費が効いて逆転することもあります。