不動産購入の流れ:買付から引渡しまで、実際に何が起きるか

日本の不動産取引は手続きが整理されていて、書面も揃っています。ただ、「ここから先は引き返せない」という線が、他国の慣行から来た買主が思うより早い段階に引かれています。

全体の流れを順に見ていきます。

1. 内見と買付申込

内見して決めたら、買付申込書を出します。購入希望価格と大まかな条件を示す書面で、契約ではありません。この段階ならどちらからでも降りられます。

申込証拠金を求められることがあります。契約に至らなければ返還される預り金ですが、返還条件を書面で確認してから渡してください。

内見時のチェックリストは、契約後ではなくこの段階で使うものです。契約後の質問は代償が大きくなります。

2. 住宅ローンの事前審査

融資を使うなら、買付と前後して事前審査を通します。永住権の有無、日本国内での就業状況、勤続年数によって、そもそも土俵に上げてくれる金融機関が変わります。外国籍の買主とローン・税金で扱っている論点です。

売主から見ると、融資前提の買付は現金より弱い条件です。競合しそうな物件では、事前審査を通してから買付を入れるべきです。

3. 重要事項説明

売買契約の前に、宅地建物取引士重要事項説明書を読み上げます。法律上の義務で、通常60〜90分かかります。

内容は、用途地域、接道と再建築の可否、地役権、特約、インフラの引き込み状況、既知の瑕疵。マンションであれば管理規約と管理費等の内訳も含まれます。問題が表に出るとすれば、ここです。

儀式として座っているだけにしないでください。書面を事前に取り寄せて読み、必要なら法律用語に対応できる通訳を同席させます。ビデオ会議によるIT重説も可能なので、海外からの購入でも進められます。

4. 売買契約と手付金

売買契約書に署名し、手付金を支払います。価格の5〜10%程度が目安ですが、交渉の対象で幅があります。

ここからお金の性質が変わります。契約書に定めた期日までは手付解除が可能で、買主は手付金を放棄して、売主は手付金の倍額を返して、それぞれ白紙に戻せます。その期日を過ぎると、解除は損害賠償の問題になります。

特に確認すべき条項が2つあります。

5. 本審査と金銭消費貸借契約

契約書が揃うと金融機関の本審査に進み、可決後にローン契約を締結します。契約から決済までは1か月前後を見ておくと安全です。

6. 決済・引渡し

決済は1日で完結します。多くは融資を受ける銀行の一室で、買主、売主、双方の仲介、銀行、そして登記を担当する司法書士が同席します。

順序としては、融資実行、売主への残代金支払い、仲介手数料と司法書士報酬の精算、固定資産税や管理費等の日割り清算、そして鍵の引渡し。登記申請はその日のうちに行われ、権利証(登記識別情報)は後日届きます。

価格以外にかかる費用

物件価格とは別に用意しておく費用です。中古では合計で価格の6〜10%程度になることが多い範囲です。

外国籍の買主が実際につまずく場所

所有そのものは問題になりません。日本では土地・建物の所有に国籍要件がなく、一方で購入しても在留資格が得られるわけではありません

詰まるのは別のところです。永住権なしでの融資、海外からの送金とマネーロンダリング対策の確認、登記に必要な住所証明や国内の代理人、そして英語で最後まで対応する仲介会社を見つけること。この4つは、気に入った物件が出てくる前に片づけておくべきものです。

期間の目安

買付が通ってから引渡しまで、現金なら4〜8週間、ローンありなら6〜10週間が標準的です。長引く原因は書類仕事よりも金融機関側の審査で、築古物件では重要事項説明で出てくる接道や再建築の論点が追加調査につながることもあります。