ヘッダー画像:AIで生成したイメージです。販売物件の写真ではありません。
中部で一戸建てを買う:9県と3つの気候から考える家選び
中部はひとつの市場ではありません。新潟から富山、石川、福井へと続く日本海側は豪雪地帯です。長野、岐阜、山梨のアルプス一帯では、そこに標高が加わります。軽井沢の年平均気温は8.6℃で、青森市の10.7℃より低いのです(気象庁の平年値、1991年から2020年)。太平洋側の静岡と愛知はほとんど雪が降らない代わりに、南海トラフの上にあります。気候が違えば、家を維持する費用も変わります。
2026年10月15日時点で、当サイトの中部の地域ページには売り出し中の一戸建てが2,702件あり、9県にほぼ均等に分かれていました。このガイドでは各県の物件と暮らし、実務上の主なリスク、現在の物件の探し方を順に紹介します。各県で訪ねたい場所は、47都道府県の地域ガイドから読んでみてください。
円の金額は掲載時の売出価格で、成約価格ではありません。
中部9県の比較
| 県 | 売出件数(2026年10月15日) | 売出価格の中央値(2026年10月6日) | 1980年以前の築 | 空き家率(2023年) | 県庁所在地の降雪量(平年値) |
|---|---|---|---|---|---|
| 新潟県 | 318 | 1,299万円 | 33% | 15.3% | 139cm(新潟) |
| 富山県 | 309 | 980万円 | 46% | 14.7% | 253cm(富山) |
| 石川県 | 288 | 2,125万円 | 29% | 15.6% | 157cm(金沢) |
| 福井県 | 272 | 1,499万円 | 32% | 15.6% | 186cm(福井) |
| 山梨県 | 288 | 1,380万円 | 44% | 20.4% | 23cm(甲府) |
| 長野県 | 300 | 1,599万円 | 39% | 20.1% | 163cm(長野) |
| 岐阜県 | 313 | 1,299万円 | 29% | 16.1% | 34cm(岐阜) |
| 静岡県 | 321 | 1,825万円 | 26% | 16.7% | 1cm未満(静岡) |
| 愛知県 | 293 | 2,950万円 | 14% | 11.8% | 12cm(名古屋) |
件数は2026年10月15日時点の掲載物件数です。中央値と築年数は2026年10月6日の集計によるもので、集計方法は都道府県別の一戸建て価格で説明しています。この集計での全国の中央値は1,799万円でした。国土交通省の2026年7月の地価調査では、住宅地の平均価格は山梨県の1㎡あたり23,100円から愛知県の122,700円まででした(国土交通省)。空き家率は2023年住宅・土地統計調査、降雪量は県庁所在地の観測地点における気象庁の平年値(1991年から2020年)です。
新潟県:雪の降り方が2通りある米どころ
新潟県は日本海沿いに長く延び、佐渡島も含みます。生活サービスの中心は新潟市で、内陸や南の中越・上越地方には、広い敷地に建つ大きな農家住宅が多くあります。売出価格の中央値は1,299万円、10月6日の集計では275件中77件が500万円未満でした。
雪の量は地図から想像する以上に変わります。新潟市の年間降雪量は平年で139cmですが、上越市の高田は413cm、最深積雪は平年で96cmです(気象庁:高田)。新潟県は全市町村が豪雪地帯に指定され、30市町村のうち18市町村は、全域または一部が、さらに指定基準の厳しい特別豪雪地帯に入っています(国土交通省)。屋根の形式、多くの道路で地下水をまいて雪を消す消雪パイプ、そして家までの道を誰が除雪するのかを確認しましょう。
現在の物件は新潟県の一戸建てから見られます。
富山県:中部で最も低い中央値と、最も古い物件
富山県の売出価格の中央値は980万円で中部で最も低く、263件中79件が500万円未満でした。物件の古さも中部で一番で、1980年以前の築が46%を占めます。富山湾と立山連峰の間に広がる平野に、昔ながらの大きな家が多く、生活の拠点は富山市と高岡です。
この2つの事実はつながっています。富山の安い家は多くが古い家で、しかも富山市の年間降雪量は平年で253cmあります(気象庁:富山)。他の地域の新しい家と比べる前に、耐震診断、屋根の工事、暖房の費用を予算に入れておきましょう。
現在の物件は富山県の一戸建てから見られます。
石川県:金沢と、2024年以降の能登半島
金沢と加賀地方には都市の生活サービスと北陸新幹線があり、石川県の売出価格の中央値を2,125万円に押し上げています。中部の日本海側では最も高い水準です。北の能登半島は農村や漁村が中心で、2024年1月1日には、気象庁の震度階級で最大の震度7を観測した地震に見舞われました(気象庁)。
能登の家なら、2024年以降の修繕履歴、罹災証明書の有無、地元の業者の予約がどれくらい先まで埋まっているかを確認してください。金沢の雪はそれほど多くなく、年間157cmです。
現在の物件は石川県の一戸建てから見られます。
福井県:重く湿った雪と、静かな海岸
福井県は、中部9県のなかで当サイトの掲載件数が最も少ない県でした。物件の多くは福井市と鯖江を中心とする福井平野にあり、南の若狭の海岸沿いには古い町が続きます。北陸新幹線も県内を通るようになりました。売出価格の中央値は1,499万円、1980年以前の築は32%です。
福井市の年間降雪量は平年で186cm、最深積雪は平年で48cmです(気象庁:福井)。北陸の雪は水分を多く含んで重いため、積雪の深さと同じくらい、屋根にかかる荷重、雨どい、軒の状態が大切になります。
現在の物件は福井県の一戸建てから見られます。
山梨県:甲府盆地と富士山麓
山梨県は東京の西隣にあります。甲府盆地は夏が暑く、雪はほとんど降りません。甲府の年間降雪量は平年で23cmです。富士五湖や八ヶ岳の山麓は標高が高くて寒く、別荘地が数多くあります。売出価格の中央値は1,380万円、1980年以前の築は44%でした。2023年の空き家率20.4%は全国で4番目の高さですが、その多くは別荘、賃貸用、売却用の住宅です。それ以外の理由で空いている家は、住宅全体の8.7%でした。
確認すべき点は2つです。富士山の近くなら、2021年3月に改定された富士山ハザードマップでその住所を確認してください。別荘地では、家を見る前に管理費、私設の水道、冬に道路を誰が除雪するのかを尋ねましょう。
現在の物件は山梨県の一戸建てから見られます。
長野県:標高が維持費を決める
長野県には山あいの町、スキーリゾート、そして長野市(年間降雪量は平年で163cm)や松本(76cm)周辺の盆地があります。売出価格の中央値は1,599万円、1980年以前の築は39%でした。
価格に織り込むべきリスクは標高です。軽井沢の年平均気温は8.6℃で、暖房の季節が長く、空き家では配管が凍ります。もうひとつの確認点は斜面です。長野県の土砂災害警戒区域は2025年3月時点で27,331か所と、中部で最多でした(国土交通省)。敷地や家までの道がその区域に入っていないか確認してください。
現在の物件は長野県の一戸建てから見られます。
岐阜県:南は名古屋の郊外、北は飛騨
岐阜市、大垣、多治見のある岐阜県南部は名古屋圏の一部として機能しており、夏は暑く、岐阜市の年間降雪量は平年で34cmです。高山を中心とした北部の飛騨地方は山国で、降雪量は305cmに達します(気象庁:高山)。売出価格の中央値は1,299万円、251件中47件が500万円未満でした。
南と北は別々の物件探しと考えてください。飛騨では冬のアクセス、暖房、業者の移動費をすべての見積もりに加え、南部では河川の洪水リスクを確認しましょう。
現在の物件は岐阜県の一戸建てから見られます。
静岡県:温暖な海岸と、南海トラフ
静岡県は太平洋沿いに、浜松から静岡市を経て伊豆半島や富士山周辺まで広がります。静岡市ではほとんど雪が降らず、年間降雪量の平年値は1cm未満です。売出価格の中央値は1,825万円。伊豆には温泉地や、斜面に建つ別荘もあります。
リスクは地震と津波です。地震調査研究推進本部は、マグニチュード8から9クラスの南海トラフ地震が今後30年以内に起きる確率を、あるモデルでは60%から90%以上、別のモデルでは20%から50%としたうえで、高いほうの数字を前提に備えるよう呼びかけています(地震調査研究推進本部)。同本部の2020年版全国地震動予測地図では、静岡市役所が今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率は70%でした(2020年版の予測地図)。内閣府の2025年の想定では、県内の最大津波高は下田の31mです(内閣府)。海沿いの家なら津波の避難経路を実際に歩き、伊豆では温泉が別の供給契約と年間の料金を伴うかを確認しましょう。
現在の物件は静岡県の一戸建てから見られます。
愛知県:名古屋の価格と、最も新しい物件
愛知県は中部の経済の中心で、名古屋と、豊田や岡崎などのものづくりの都市から成り立っています。売出価格の中央値は2,950万円で中部最高、500万円未満は252件中わずか9件でした。建物も最も新しく、1980年以前の築は14%です。名古屋の年間降雪量は平年で12cmです。
南海トラフのリスクは静岡と共通です。同じ2020年版の地図では、名古屋市役所が今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率は46%でした。名古屋市西部や伊勢湾沿岸の一部は低い土地で、洪水と高潮の確認が欠かせません。価格を比べる前に、国土地理院のハザードマップポータルサイトでその住所を調べてください。
現在の物件は愛知県の一戸建てから見られます。
中部で家を買うときのチェックリスト
- 標高を調べる。 標高が高いほど冬は長くなります。谷底より高い場所なら、暖房、断熱、水抜き栓を確認しましょう。
- 備える災害を見極める。 北陸と新潟は重く湿った雪、静岡と愛知は地震と津波です。どちらでも住所単位のハザードマップ確認を行ってください。
- 屋根の雪がどう処理されるかを聞く。 屋根の形式と、前の冬の除雪費を確認しましょう。
- 別荘地の規約を読む。 別荘地では、購入を申し込む前に管理契約、管理費、水道の条件を入手してください。
- 温泉の権利は別に考える。 温泉地では、温泉の供給が別の契約になり、独自の料金がかかることがあります。
- 能登では修繕記録を求める。 2024年以降の修繕の請求書と、調査範囲を決めたインスペクションを求め、業者を手配できることを書面で確認しましょう。
- 1981年の新耐震基準を確かめる。 富山、山梨、長野では、掲載物件の39%から46%が1980年以前の築です。旧耐震と新耐震の違いを読んでおきましょう。
- 支援制度は早めに確認する。 補助金は市町村の制度で、予算に限りがあります。長野市の2026年度の補助金は、空き家バンクを利用する県外からの18歳以上60歳未満の移住者に、リフォーム費用の3分の2まで、地域によって50万円または100万円を上限に補助します(長野市)。新潟市の制度は、2026年8月に予算が尽きて受付を終了しました(新潟市)。
データの出典と集計方法
件数は2026年10月15日時点の当サイトの公開物件によるもので、毎日変わります。中央値と築年数は2026年10月6日の集計です。気候の数値は気象庁の平年値(1991年から2020年)、空き家率は総務省統計局の2023年の調査、土砂災害警戒区域と地価は国土交通省のデータです。
実際の物件を比べてみませんか。中部の地域ページを開くか、全国の売り出し中の一戸建てを検索してください。