競売物件の買い方:外国人も入札できる?BITの使い方と費用(2026年)

ヘッダー画像:さいたま市浦和区のさいたま地方裁判所。2025年5月にEbiebi2が撮影し、Wikimedia CommonsでCC0として公開された写真です。手前に並ぶのは裁判所の掲示板です。

競売物件の買い方と購入の流れ:外国人・非居住者のための入札ガイド

日本の安い家を探していると、いずれ不動産会社ではなく裁判所が売りに出している家に行き当たります。それが競売物件です。借金の返済が滞って差し押さえられた不動産を、地方裁判所が封をした入札で最も高い価格をつけた人に売却します。裁判所は物件ごとに写真と法的な調査結果をまとめた資料を付けて、無料のウェブサイトBITで公開しています。

外国人の買い手がまず気にするのは、そもそも入札できるのかという点です。答えは、原則として「できる」です。大津地方裁判所の入札案内は冒頭で「原則として,どなたでも買受けの申出ができます」と明記しています。例外として挙げているのは、債務者、談合や代金の不納付、暴力団員等であることを理由に買受けが認められない人、そしてその物件について裁判所が求めた資格を持たない人です(大津地方裁判所、2020年)。国籍は例外に含まれていません。難しいのはむしろ実務で、書類、現金、日程、そしてまだその家に住んでいる人の問題です。

このガイドでは、BITへの掲載から鍵を受け取るまで、一つの競売の流れを順に追います。根拠は裁判所自身のページと民事執行法で、いずれも2026年10月16日に確認しました。なお、Buy Houses Japanは競売物件の仲介も入札も行わず、個別の競売物件について意見を述べることもありません。専門家が必要な手順では、どの専門家に頼むべきかを記しています。

外国人や非居住者も競売に入札できる?

民事執行法が買受けを認めていないのは、ごく一部の人だけです。債務者(第68条)、売却の手続を妨害した人やその手続で代金を納付しなかった人、暴力団員等、そして役員に暴力団員等がいる法人です(第71条、e-Gov法令検索:民事執行法)。このほか、裁判所が物件ごとに買い受けられる人を制限することもあります。よくあるのが農地で、入札の前に農業委員会から買受適格証明書を取得しておく必要があります(BIT用語集)。

つまり、法律は外国籍の人の入札を妨げていません。非居住者がつまずくのは書類です。

代理委任状があれば、代理人を通じて入札することもできます(BIT:入札手続)。落札した後、非居住者が日本の不動産を取得した場合は、取得後20日以内に日本銀行を経由して財務大臣に報告しなければなりません(財務省)。競売では、代金を納付した日に不動産を取得します(第79条)。また、家を所有してもビザは得られません。詳しくは日本で家を買うとビザは取れるのかをご覧ください。

BIT(不動産競売物件情報サイト)の使い方

BIT(不動産競売物件情報サイト)は最高裁判所の委託で運営されているサイトで、全国各地の地方裁判所の競売物件を掲載しています。表示は日本語のみです。地方ブロック、地域、沿線、裁判所、事件番号から検索でき、物件ごとのページには主な情報と、三点セットをPDFでダウンロードするボタンがあります。このほか、裁判所ごとの売却スケジュール、終わった売却の売却結果、そして種別、年、所在地、売却価額で絞り込める過去データも見られます。似た家が実際にいくらで売れたかを知るには、この過去データが一番の手がかりです。

物件情報で必ず目にする用語は次のとおりです。

競売の三点セットの見方:物件明細書、現況調査報告書、評価書

裁判所はこの3つの資料を「三点セット」と呼んでいます。入札が始まる前にBITと裁判所で閲覧でき、その時期はBITによれば入札期間開始の少なくとも1週間前、東京地裁では通常15日前、大津地裁では2週間前です。

資料作成者わかること
物件明細書裁判所書記官売却後も消えずに買受人が引き受けることになる賃借権などの権利があるか。土地と別々に売られる建物に、その土地を使い続ける法定の権利(法定地上権)が生じるか
現況調査報告書執行官建物の現状、だれがどのような権利を主張して占有しているか(写真付き)。執行官は立ち入り、施錠された戸を開け、占有者に質問することができます(第57条)
評価書裁判所が選任した評価人評価額、周辺の状況、用途地域その他の法令上の制限(図面付き)

読む順番もこのとおりです。物件明細書には、買受人の法的な立場についての裁判所の見方が示されています。現況調査報告書からは、家にだれがいるかがわかります。評価書では、再建築不可や市街化調整区域といった建築・都市計画上の問題を確認します。通常の売り物件でも要注意とされるこうした条件は、その家が安い理由で解説しています。

裁判所は資料の限界をはっきり書いています。BITによれば、物件明細書は記録に表れた内容を記載したもので、当事者の権利関係を確定するものではなく、物件の状況が変わることもあります(BIT:競売手続の流れ)。東京地裁は、入札する人自身が現地を見て登記を確認すること、権利関係が複雑な場合は弁護士に相談することを勧めています。

中に入れないのが普通です。法律上、執行官が実施する内覧が行われるのは、差押債権者が売却実施処分の前に申し立てた場合に限られ、売却後も存続する権利を持つ占有者は内覧を拒むことができます(第64条の2)。裁判所が内覧の実施を告知していない限り、建物の内部は執行官が撮った写真で判断することになります。1981年より前に建てられた家なら、その前提で計画を立ててください。この年がなぜ重要かは古い家の耐震基準で説明しています。

入札の手順:保証金の振込、陳述書、封筒の提出

入札は1つの物件につき、次の4つで構成されます。

  1. 入札書: 事件番号、物件番号、入札価額を書きます。金額を訂正した入札書は無効になるので、書き損じたら新しい用紙に書き直します。
  2. 保証金: 入札期間の最終日までに着金するよう裁判所の口座に振り込み、金融機関の領収印のある保管金受入手続添付書(振込依頼書の2枚目)を入札保証金振込証明書に貼り付けます。着金が遅れた入札は無効です。
  3. 暴力団員等に該当しない旨の陳述書: 改正民事執行法が2020年4月1日に施行されてから、すべての入札に必要になりました(法務省)。暴力団員ではなく、暴力団員でなくなってから5年以内の者でもないこと、暴力団員等の資金で入札するのではないことを陳述します(第65条の2)。陳述書のない入札は無効で、後から出すことはできず、提出後の訂正もできません。ほかの人が自分の利益のために購入資金を出す場合は、その人を別紙に記載します。銀行から借り入れるだけなら、これには当たりません。虚偽の陳述をすると、6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処されることがあります(第213条)。そのうえで、裁判所は最高価買受申出人について都道府県警察に照会します(第68条の4)。
  4. 添付書類: 先に述べた本人確認書類、法人なら資格証明書、代理人による入札なら委任状です。

封をした封筒は執行官に直接提出するか、入札期間内に届くように郵送します。いったん出した入札は取り下げも変更もできません。開札期日には執行官が封筒を開け、最高価買受申出人を定めます。2番目に高い入札者は、落札者が代金を納付しなかった場合に代わって買い受ける次順位買受けの申出ができます。ただし、その入札額が買受可能価額以上で、かつ最高価の入札額から保証金の額を差し引いた額以上であることが条件です(第67条)。それ以外の入札者には保証金が返還され、大津地裁によれば振込みまでおよそ1週間かかります。

入札がなかった場合、裁判所は物件を特別売却に回すことがあります。買受可能価額以上で最初に申し出た人が買い受けられる、先着順の売却です(BIT用語集)。東京地裁では「開札期日の翌開庁日から3開庁日の間に先着順」で行われます。ほかにだれもその価格で欲しがらなかった家ですから、資料は二度読んでください。

競売物件の購入の流れ:開札から引渡しまでの日程

最初から最後までの日程を一つのページで示した資料はないため、各裁判所の案内から組み立てました。

手続通常の時期出典
公告、三点セットのBIT掲載入札期間が始まる2週間前から1週間前までBIT、東京地裁、大津地裁
入札期間売却ごとに定められる。東京地裁では通常8日間東京地裁
売却決定期日開札期日からおおむね3週間以内大津地裁。BITの東京地裁の例では20日後
売却許可決定の確定売却決定期日のおよそ1週間後大津地裁
代金納付期限売却許可決定の確定から1か月以内BIT
所有権の取得と登記代金納付時。裁判所が登記所に買受人の所有権移転登記を嘱託する第79条、第82条
引渡命令の申立て代金納付から6か月以内(一部の賃借人については9か月以内)第83条

全体では、開札から所有権の取得までおよそ2か月、だれかに退去してもらう必要があればさらに長くかかると見ておきましょう。納付するのは入札額から保証金を差し引いた残りの全額で、一括払いです。期限までに納付しなければ売却許可決定は効力を失い、保証金も返還されません(第80条)。BITは、買い受ける権利も失うと注意しています。

競売物件でローンが使いにくい理由

法律上、ローンを使うことはできます。第82条第2項により、買受人と金融機関は、裁判所の登記の嘱託書を自分たちが指定する登記の専門家(実務上は司法書士)に渡すよう申し出ることができます。その専門家が所有権移転登記と金融機関の抵当権設定登記を同時に申請するため、銀行は融資を実行する日に担保を確保できます。大津地裁はこれを「ローン方式」と呼び、「代金納付日の3日前(土・日・祝日を除く。)まで」に申し出るよう求めています。

問題は日程です。売却基準価額の20%にあたる保証金は、落札できるかどうかもわからないうちに自己資金で用意しなければなりません。そのうえ金融機関は、およそ1か月のうちに、買い手も銀行も中を見たことがなく、責任を負う売主もおらず、まだ人が住んでいるかもしれない家への融資を審査することになります。日本での収入や永住権がない買い手は、通常の売買でさえ融資先を見つけにくく、その理由は外国人のための住宅ローンと税金の入門で説明しています。現金で払う前提で計画し、ローンは入札前に話をつけておけた場合のおまけと考えてください。

占有者と引渡命令

競売では家は現状のまま売られ、だれかがまだ住んでいることも珍しくありません。どのタイプの占有者なのかは、物件明細書でわかります。

引渡命令の申立て自体の費用はわずかです。高知地方裁判所の案内では、申立手数料は相手方1人につき500円の収入印紙と郵便切手で、執行抗告がなければ命令は送達から1週間で確定します(高知地方裁判所、2024年)。お金がかかるのは強制執行のほうです。執行文の付与(300円)と送達証明(相手方1人につき150円)を受けて執行官に申し立てると、裁判所ごとに異なる予納金を求められます。執行官は原則として申立てから2週間以内の日に最初の現地訪問(明渡しの催告)を行い、そこからおよそ1か月の期限を置いて断行に移ります(裁判所ウェブサイト)。家に残された物の運び出しと保管の費用は、これとは別にかかります。

落札後にかかる費用

BITは買受人が負担する費用として、裁判所が登記を嘱託するための登録免許税と郵便切手代を挙げ、さらに場合によっては、引渡命令の申立費用、滞納債務、占有者が請求できる必要費・有益費、強制執行や残置物処分の費用がかかるとしています(BIT:売却の流れ)。見落としやすいのは二つです。マンションでは滞納された管理費や修繕積立金を買受人が引き継ぎ、資料が作られた時点より増えていることもあります(BIT用語集)。また、占有者が建物の修繕などに必要費や有益費を支出していれば買受人に請求でき、留置権を主張している占有者は支払いを受けるまで明け渡す必要がありません(BIT用語集)。

税金は落札価格ではなく固定資産税評価額をもとに計算され、そのうち一つは通常の購入と扱いが違います。国税庁の税額表では、競売で取得した土地の所有権移転登記の登録免許税は2%で、軽減税率はありません。一方、売買で取得した土地は2029年3月まで1.5%です。自分が住む家は、床面積などの要件を満たせば、2027年3月まで2%ではなく0.3%の軽減税率を受けられます。この軽減の対象が「売買および競落に限ります」とされ、競売による取得も含まれるためです(国税庁)。都道府県の不動産取得税は取得の方法を問わずかかり、税率は2027年3月まで土地と住宅が3%です(大阪府の不動産取得税Q&A)。宅地は評価額の2分の1に課税されます(大阪府の不動産取得税Q&A 1-4)。

架空の家を想定し、数字も仮に置いた計算例です。

項目金額
売却基準価額500万円
買受可能価額(80%)400万円
入札前に振り込む保証金(20%)100万円
落札額560万円
約1か月以内に納める残代金460万円
登録免許税:土地(評価額200万円の2%)4万円
登録免許税:建物(評価額80万円の2%、要件を満たせば0.3%)1万6,000円または2,400円
不動産取得税:土地(200万円の2分の1に3%)3万円
不動産取得税:建物(80万円の3%、中古住宅の軽減を適用する前)2万4,000円

このほかに、金額の読めない費用があります。強制執行、残置物の片付け、マンションの滞納管理費、そして確認できなかった修繕です。入札の手伝いをだれかに頼まない限り、競売で仲介手数料はかかりません。修繕費や維持費は安い家の総費用で詳しく取り上げています。

競売物件のデメリット:空き家バンクや通常の売買と比べる

安い家を買う方法は大きく三つあり、競売はその一つです。ほかの二つは、国土交通省の支援を受けた2つのサイトで全国から検索できるようになった市町村の空き家バンク(国土交通省、当サイトの空き家バンクのガイド)と、免許を持つ不動産会社を通じた通常の売買です。2026年10月16日時点で、当サイトには全国で売り出し中の一戸建て24,804件のうち、最近販売中であることを確認した1,000万円以下の一戸建てが7,431件掲載されていました。

競売空き家バンク通常の売買
価格自分の入札額。売却基準価額の80%以上所有者と交渉売出価格から交渉
内部の確認裁判所が内覧を実施する場合のみ所有者や自治体と調整申込み前に見るのが普通
説明される内容三点セット(あくまで参考資料)自治体によって異なる契約前に宅地建物取引士が重要事項を書面で説明(宅地建物取引業法第35条)
隠れた欠陥種類や品質の不適合について責任を追及できない(民法第568条)契約で定める契約で定める
資金入札前に20%、残りはおよそ1か月以内売買契約の取り決めどおり売買契約の取り決めどおり
占有者いることがあり、自分で対応する通常は空き家通常は引渡し時に退去済み

競売が向いているのは、代金の全額を現金で用意でき、日本の住所か裁判所が認める代わりの書類、日本の銀行口座を持ち、現地の通りを見に行って資料を読んでくれる人がいる買い手です。交渉よりも強制売却のルールのほうが性に合い、だれも確認していない修繕費を価格に織り込める買い手にも向いています。有望なのは、物件明細書に引き受けなければならない権利がなく、現況調査報告書で空き家か所有者自身が住んでいるとわかる物件です。

住宅ローンが必要な人、契約前に建物を調べたい人、強制執行に対応できない人には向きません。空き家バンクは、自治体の支援や移住者向けの補助金を求める買い手に合っています。通常の売買は、内見して交渉し、物件について書面で十分な説明を受けたい買い手に合っており、購入の手順に沿って進めれば、海外在住のままでも購入できます。

だれに何を頼むか

競売物件についてよくある質問

外国人でも日本の競売物件を買えますか?

買えます。民事執行法は国籍で入札者を制限しておらず、買受けが認められないのは債務者、売却を妨害した人、暴力団員等です。外国籍の入札者に必要な書類はほかの人と同じで、裁判所が認める形式の本人確認書類、暴力団員等に該当しない旨の陳述書、20%の保証金などです。

海外から入札できますか?

入札書は郵送でき、委任状を持つ代理人に頼むこともできます。難しいのは、住民票がない場合に裁判所が認める本人確認書類、日本にある裁判所の口座への保証金の振込み、そして裁判所の日程どおりに残代金を納付できるかどうかです。まず執行官室に問い合わせてください。

入札の前に競売物件の中を見られますか?

通常は見られません。内覧が行われるのは差押債権者が申し立てた場合だけで、拒否できる占有者もいます。それ以外は、執行官の写真と記述、そして通りから見える範囲が頼りです。

競売物件は安いですか?

入札は、すでに強制売却であることを反映した売却基準価額の80%から可能です。ただし、内部を見ずに買い、欠陥があっても責任を追及できず、占有者がいる可能性もあり、土地の登録免許税は2%かかります。価格を決める前に、BITの過去データで似た家の売却結果を比べてください。

落札したのに代金を払えなかったらどうなりますか?

売却許可決定は効力を失い、保証金は戻りません。開札期日に2番目の入札者が次順位買受けの申出をしていれば、裁判所はその人に売却できます。

出典と確認方法

本文の数字はすべて、2026年10月16日に出典で確認しました。BITの手続案内と用語集、東京地方裁判所民事執行センターの買受けの案内とBIT掲載の陳述書記載要領、大津地方裁判所の入札案内(2020年4月)、高知地方裁判所の引渡命令の案内(2024年10月)、裁判所ウェブサイトの不動産引渡(明渡)執行のページ、e-Gov法令検索の民事執行法、民法、宅地建物取引業法、2020年の法改正に関する法務省のページ、国税庁の登録免許税の税額表(2026年4月1日現在の法令)、大阪府の不動産取得税の税率、そして非居住者による報告に関する財務省のページです。手続は裁判所によって異なるため、対象物件の公告を必ず確認してください。物件数は2026年10月16日時点の当サイトの公開物件データによるもので、毎日変わります。

内見して交渉したい場合は、1,000万円以下の家、売り出し中の空き家、日本全国の売り一戸建てから探してみてください。